もう随分と昔の話です。
初めて香港に住んだとき、
プロニッターのお義母さんに仕込まれました。
湾仔の細い路地にあるのに、
割と大きな店構えの手芸屋さんへよく一緒に行きました。
香港の人たちは、編み物が大好きなようで、
いつもたくさんの人で賑わっていた店です。
ある時、店主の女性に紹介されました。
お義母さんは、たくさん毛糸を買う(というか買わせる)、
その店のお得意様だったようです。
義母は趣味で編むのではなく、
収入のためでした。
麻雀の仲間、友人知人親類縁者、
きっといろんな人が彼女のお客さんだったのでしょう。
毎日毎日、何かしらを編んでいました。
最初は私、編み物をできないふりしていたんです。
でも、ひょんなことから頼まれるようになり、
まずはパーツの縫い合わせから。
あの頃は何の苦もなく、むしろ好きな作業でした。
そのうちに、後ろ身頃を彼女、私が前身頃を編むなど、
作業を分担するようになっていったのです。
もちろん、簡単な編模様のもの限定で。
日本の編み図のあるものは、私の担当になりました。
英語も広東語も不自由で働きに出られない私を思い、
仕事を回してくれたのでしょう。
好きなことをしているのに編み賃も貰って、
とっても嬉しかった記憶があります。
私に任せて空いた時間で彼女が編んでいたのは、
パトリシア・ロバーツの作品。
当時、香港で流行っていたのでしょうか。
きれいな色の毛糸の多色使いで、
とても新鮮な印象のセーターやカーディガンばかりでした。
あの頃、金鐘(アドミラルティ)の地下鉄駅の上に、
パトリシア・ロバーツの店があったのです。
当時、香港はまだ英国領だったのですから、
イギリス人のニットデザイナーであるロバーツが、
香港に店を出すのは、ごく自然な流れだったのでしょう。
今もまだあるのでしょうか。
ふと思いついて、ホームページを探してみましたが、
アクセスできませんでした。
私もいつか、あんな素敵なセーターを
編めるようになりたいものです。
Fashion encyclopedia: Roberts-Patricia
ravelry のページ patricia-roberts
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